2005年頃から、スターバックスCEOのハワードシェルズは巨大市場、インド進出を約7年にわたり狙っていた。進出のために、適切なビジネスパートナー探しと、インド政府からの事業展開許可を取ろうとしていた。
結果、2012年、TaTaグループとの50:50の共同出資(JointVenture )でTaTa Starbucksを設立。首都ムンバイへの進出を果たした。
(スターバックスはTaTaのロゴを加えている)
コーヒーは世界で二番目に幅広くトレードされている商品だ。
しかしインドでは、ティー文化が根強く、コーヒーよりティーが圧倒的に人気である。
つまり市場は、実はあまり飽和(saturation)していない。
しかし、コーヒー市場の成長率は近年伸びており、2009-2016年の間では9%成長したポテンシャルの高いマーケットだ。
ちなみにスターバックスとしては、アメリカ、カナダ、日本、中国、そしてイギリスが5大マーケットである。
(インドは1990年代にopened door policy を取り、inward FDIを加速させた)
2007年にスターバックスはインド進出に際し、ピザハットやコスタコーヒーなどと同様にフランチャイズモデルでの進出をインド政府に申請したが、数ヶ月後に申請取り下げた。
ローカルのパートナーとのTie-upを望んだからだ。
インドという特殊な文化を持つ国で成功するには、台本にそいつつ、工夫(with a twist)が必要だ。
スターバックスは62の市場において30の国からコーヒーを輸入している。インドは完全に現地調達・焙煎したコーヒーを現地販売する最初の国となった。
インドの食文化にあわせ、軽食コーナーをローカライズした。例えば、タンドールを挟んだフォカッチャなどだ。またヒンドゥーやイスラムの宗教を考慮(take into account)して、牛や豚を使わないベジタリアンのオプションを増やした。
価格に関しては、所得水準を考慮し、Affordable にするために、安価に設定。
例えば、カプチーノを北京で$4.3で販売しているが、インドのムンバイでは$2.1にした。
コスタコーヒーといった競合はインド国内での販売価格を都市や地方によって変えているのに対し、スターバックスはインド国内全て均一価格(uniform pricing)にした。
また、店舗の大きさは他の国比べ大きく設計。
インドでは、持ち帰り(grab-and-go)の文化が流行っていなく、席でゆっくりしたいという文化的背景を反映した。
そうして、インドムンバイで行列の出来るほどの成功した進出となった。
この事例から思うことは、海外進出時は、当たり前だが、現地の文化や宗教を考慮し、ローカライズする工夫が必要であること。
また、現地企業とのパートナー選びが重要であるということだ。