今回はイギリスで起きたスターバックスにおける税逃れ(tax avoidance)の騒動について。
節税(Tax avoidance) は合法(ligall)であることから、多くの多国籍企業(MNEs)で戦略的に導入されている。一方で、今回の事例のようにホストカントリーから反感(protest)を買うこともある。
CSRにも積極的に取り組んでおり、先進的なイメージのあるスターバックス。
約10年前、イギリス国内に800店舗もあるスターバックスに対して、収めている法人税(UK's corporate tax rate:24%) が少なすぎるとメディアが報じて起きた騒動。
イギリスでのコーヒーを売るために、仕入れ先農家から輸入するための貿易会社をスイスに、そしてオランダに豆をローストするための工場を持っていた。
そこで、主な利益を圧縮するための節税戦略は3つ。(通常法人税は利益に対して課税)
①ロイヤリティの支払い(Royelty payment )
同グループ会社内(Affiliate) でスタバのブランド名使用といった知的財産権など(intellectual property)にロイヤリティを売上に対して6%設けた。これは課税所得(taxable income)から控除(deductible)できるため、プロダクトの最終地点であるイギリスでの事業会社の利益を圧縮。
②移転価格(Transfer pricing)
例えば90万で仕入れたコーヒーをスイス(国際取引の場合、税率5%)の貿易会社からオランダの工場へ120万で輸出する。
そしてオランダ(税率25%)でローストしたコーヒーを150万でイギリスに輸出する。イギリスでの利益を減らし、より税金の低いスイスでの利益を大きくすれば、支払う税金は会社全体で減らすことができる。
③企業間債務(Inter-company debt)
イギリス事業の資金を企業間借入金で調達。
そして高い金利を課されていた。スターバックスUKが他のスターバックス関連会社は支払った利息は損金参入でき、イギリスでの課税所得を減らすことができた。
以上3つの方法で税金を減らしていた。
結果的にメディアの報道により炎上し、世間からのプレッシャーに負けた同社は必要以上に多い税金を支払い世間からの圧を抑えた。
法に則っているので問題はないが、政府は良くても、国民はどう思うか。
商品やサービスの提供に加え、雇用を生み出していたり、英国経済に貢献している。
一方、税金によって運営されるNHS(イギリスの保険システム)や公共交通機関などのサービスの恩恵を受けているのは間違いないだろう。
そう考えると、多国籍企業も一市民として果たすべき義務を果たせという言い分は理解できる。
国際的にビジネスを展開する際、合法でも倫理的にどうかということも考慮しないといけない典型的な事例だ。最も、戦略としてはスマートな策だとは思うが。